「長く歩けないのは腰部脊柱管狭窄症かもしれません」

 

長く歩けないのは腰部脊柱管狭窄症かもしれません
 獨協医科大学越谷病院 整形外科准教授 飯田 尚裕


 長く歩くと、お尻から太もも、そしてすねやふくらはぎが痛くなったりしびれたり、 あるいは脚(あし)が前に出なくなったりして歩けなくなる。 前かがみや、いすに腰掛けて休むと、しばらくしてまた歩けるようになるが、 長く歩くとまた同じように歩けなくなる。 このような症状を「間欠跛行(かんけつはこう)」といいます。

 この原因の多くは「腰部脊柱管狭窄(せきちゅうかんきょうさく)症」という腰の病気です。 脊柱管とは背骨にある神経の通り道のことで、これが生まれつき、 あるいは加齢による変化によって狭くなり、脚にいく神経を圧迫します。 歩くと背骨が動くために神経の圧迫が強まり症状が出ますが、 前かがみや腰掛けていると脊柱管が広くなり症状が改善します。 台所仕事や通勤電車などで長く立つと症状が出る人もいて、夕方に症状は強くなります。 歩かなくても常に脚がしびれたり、足の裏に何かついているような感覚が出たり、 夜トイレに何回も起きるようになれば重症です。

 腰部脊柱管狭窄症がある方は、脚の症状が出たときに無理をしてはいけません。 前かがみやいすに座って楽な姿勢をとりましょう。 つえやカートを使う、または自転車を使うのも良いでしょう。 なかなか良くならない方は、整形外科を受診してください。 X線検査やMRI検査を行うと、脊柱管の状態がよく分かります。 血流改善剤が非常に効きますし、強い痛みには神経ブロックを行います。 それでも治らない方は、手術を受けると長く歩けるようになります。 ただし重症になってからの手術は、症状が残り効果が落ちますので、早めに相談するのが良いでしょう。