「悪性骨軟部腫瘍って何?」

 

埼玉県医師会 健康手帳 悪性骨軟部腫瘍って何?
 埼玉県立がんセンター整形外科 眞鍋 淳先生


 悪性骨軟部腫瘍(しゅよう)とは、骨や軟部組織に生じる悪性腫瘍です。軟部組織とは脂肪、筋肉、腱(けん)、神経、血管などですから、四肢や体幹部など全身に及びます。原発性と続発性(転移性)があり、原発性骨軟部悪性腫瘍は別名で肉腫ともいい、癌と肉腫を併せてがん(ガン)と呼びます。

 原発性悪性骨軟部腫瘍の治療成績は、近年飛躍的に向上しました。CTやMRIなど画像診断の進歩と切除縁の概念から、切除法のガイドラインが明らかになってきました。それにより80%以上の症例で安全な患肢温存が可能となってきました。また補助化学療法の導入によって、転移の発生をかなり防止できるようになりました。

 患肢の機能を最大限に保持するための種々の再建手術が発展し、人工関節置換と同時にパスツール処理自家骨移植などの生物学的再建も開発され、術後の長期機能確保が可能となってきました。パスツール法は国内外で約200例実施され、安全性と有用性が確認されています。骨肉腫を例にとると1970年代は切断しても5年生存率は30%以下であったものが、最近10年では80%以上で根治的患肢温存手術が可能で、5年生存率も初診時に転移がない場合80%近くに向上しました。
悪性骨軟部腫瘍って何?