「野球肘・野球肩の治療法 ~投球フォームとの関連について」

 

埼玉県医師会 健康手帳 野球肘・野球肩の治療法 ~投球フォームとの関連について~
山﨑整形外科院長 山﨑典之先生


野球肘・野球肩とは、ボールを投げる瞬間に肘・肩に痛みを引き起こす疾患であり、原因はover useによる障害と思われている。治療法としては、患部の安静保持・冷温布・鎮痛剤・温熱療法等が主とされているが、中には手術が必要な症例も少なくない。

当院では、15年程前より受診者の投球フォームのチェックとフォームの矯正を試み、治療中でも毎日のシャドーピッチングにて、痛みの改善と共に早期復帰及び再発防止がなされた症例が多数認められた。

初診時のフォーム確認ではほとんどの子供達が①軸足に体重移動ができない、②肩の開きが早い、③フォロースルがとれない等の共通点がある。また、ボール握りも母指を屈曲したいわゆる「くそ握り」の子供が大半であった。これらは「肘を下げるな」・「相手をよく見ろ」等の指導で、知らない内に「手投げ」になっており、慣性モーメント上、肘や肩に負担が増強されているのではと私は考えている。それらを踏まえて、フォームの適性化を図ると、その場でのシャドーピッチングで痛みを訴えなくなる子供が大半である。医学的治療は当然必要であるが、野球の特殊性等を考慮すべきではないかと考えている。

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東京新聞「ショッパー」 2012年10月18日(木)発刊分