痛子どものO脚、X脚
佐藤整形外科(元埼玉県立小児医療センター副院長) 佐藤 雅人
●O脚(生理的)
O脚とは子どもの両側のかかとをつけて立たせ、正面から見て両膝の間が開いている状態で、 英語のОに似ていることからこう呼ばれています。 病因、発生機序は子宮内の胎位が大きく関与しているといわれています。
満期産の場合には、産まれる前は下腿(かたい=ひざから下)が内反、内捻(ねん)した肢位にあります。 この下腿の内反が主原因です。生理的なO脚は歩行を開始するころに目立ってきて来院することが多いのですが、
歩くことによって骨には外ねじれの力が加わりますので、徐々に3歳に向かって改善していくのが自然の経過です。 従って基本的には治療は必要ありません。
しかし2歳を過ぎても全く改善傾向が見られない場合には、装具療法が必要なことがまれにあります。
●X脚(生理的)
X脚とは子どもの両側のひざをつけて立たせ(重ねない)、正面から見て両側のかかとの間が開いている状態をいいます。 英語のXに似ていることからこう呼ばれています。
病因、発生機序については関節のゆるみを主原因とする考え方がありますが、明確なものではありません。 生理的なX脚は3~5歳を中心に見られ、7歳ごろには自然に改善するのがほとんどです。
基本的に治療は必要ありません。 ひざの内側側副靭(じん)帯のゆるみをこれ以上悪くしないよう、 程度が強い場合には内側を高くした足底板を使用することもあります。
O脚、X脚とも手術を必要とすることはまずありません。
生理的なものとは、子どもの発達に伴う変化で病的とはいいにくく、このようなO脚、X脚がほとんどです。