「骨粗鬆症について」

 

骨粗鬆症について
 埼玉県総合リハビリテーションセンター センター長 上小鶴 正弘


 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)とは、骨の量が減り、骨が弱くなり、 日常生活程度の負荷でも骨折しやすくなる病気です。 日本では約1000万人の患者さん(8割は女性)がいるといわれており、 お年寄りが増えたため増加傾向にあります。 高齢化社会の問題点としても見過ごせません。たとえば、大腿(たい)骨頸部骨折で寝込み、 骨折治癒後も自力歩行が困難になり、高齢者の寝たきりの原因となります。 また、背骨の圧迫骨折で背中が丸くなり、痛みで日常生活動作が制限され、行動範囲も狭まります。

 骨粗鬆症は月経がなくなることや加齢に伴って起こり、 かつ最も多くみられる「原発性骨粗鬆症」と内分泌疾患や胃切除、 ステロイドなどの薬剤によって起こる「続発性骨粗鬆症」の二つのタイプがあります。 要因として、性ホルモンバランスの変化があり、 運動の習慣がなくやせた体型、低い身長は危険因子の一つです。 骨形成に欠かせないカルシウムとビタミンDが不足した食事も要因となります。 骨粗鬆症を予防するには、発症前の運動と食物の改善が重要です。

 診断はX線撮影と骨密度測定で、治療薬の選択と効果判定には骨代謝マーカーの測定を、治療は食事・運動の改善、薬物治療で行います。