「子どものロコモ」

 

埼玉県医師会 健康手帳 子どものロコモ
北本整形外科院長 柴田 輝明先生


乳幼児から高齢者まで健康寿命90歳を目指す人間にとって、その一生涯を通じ、運動器系の活動は生き抜いていくためやQOLの面でも非常に重要である。

最近、我が国では超高齢化社会を迎え、運動器系の障害やケガによる脊椎骨粗しょう症や骨折等により、寝たきりや要介護認定の方々が増加している。介護予防の点から、高齢者に対する「ロコモティブシンドローム」いわゆるロコモの予防対策として、「健康日本21」では、ロコモの普及率を現在の17.3%から平成35年度までに80%に高めることを目標としている。

一方、少子化を迎えている我が国において、子どもの運動器疾患・傷害及び運動器系機能不全( 低下) や機能不調は、社会環境の変化、食生活の乱れ、外遊びの出来にくい状況の中で増加しつつある。

放っておくと、成人のメタボリックシンドローム「内臓脂肪症候群」や高齢者のロコモティブシンドローム「運動器症候群」に移行しやすい危険性をはらんでいる。そのためにも子どもの時こそ適切な生活習慣、例えば栄養(食育)、睡眠(休息)、運動、勉学のバランスのとれた日常生活作りが重要であり、「子どものロコモ」対策こそ、高齢者のロコモ予防につながる。健康日本21の目指すロコモ普及率を高めるためにも大きな課題であろう。また子どものロコモ予防のために、学校保健における運動器健康教育の導入は、子どもの「脳と心と体」の発育・発達の上で重要な課題である。

 ●『骨と関節の日』市民公開講座
10月20日(日)浦和コルソ7階ホールで開催。テーマは「ロコモティブシンドローム」
午後1時半から「専門医による健康相談・骨密度測定(整理券配布午前11時から共に先着150人)」、午後3時から市民公開講座。入場無料。
問い合わせは、埼玉県整形外科医会(電048-824-2611)。

東京新聞「ショッパー」 2013年10月3日(木)発刊分