埼玉県医師会 健康手帳 骨粗鬆症の予防と治療
矢島整形外科院長 矢島秀世先生
世界に例を見ない超高齢化社会となったわが国において、骨粗鬆症(こつそそうしょう)は社会問題にもなろうとしています。推定で、1100万人以上いるといわれていますが、実際治療を受けている人は約2割程度ではないかといわれています。
平均寿命は女性で87歳を超えておりますが、健康寿命はそれよりも7歳以上低くなっております。寝たきり老人の増加が危惧されるところです。
骨粗鬆症も生活習慣を改善することにより、予防することができます。まずは、成長期に骨を蓄積させることが大切です。必要のないダイエットは絶対にしてはいけません。食事が非常に大切です。
運動することによって、筋肉は強くなり骨も増えます。宇宙飛行士は宇宙滞在中、1週間で骨量が約1%減るといわれていますが、これは運動が大切なことを示しています。骨に適度な負荷をかける運動は、カルシウムを骨に取り込み、骨を強く丈夫にします。日光にあたることもビタミンDの産生を高め、カルシウムの吸収を高めます。
現在、骨粗鬆症の治療薬はビスホスホネート製剤が第一選択となっておりますが、ほかにもビタミンD剤、エビスタなどがあります。またテリパラチド注射剤等、新しい薬も開発されてきており、生活習慣病と同様にいかにロコモティブシンドロームの予防をして健康長寿社会を築きあげるかが問題となっています。
特に女性においては、閉経後エストロゲン低下に伴い閉経後骨粗鬆症になることが多いので、閉経後5年以内には骨粗鬆症健診を受けた方が良いと思います。
日ごろからバランスの良い食事、適度な運動を心がけることによって、骨粗鬆症を予防し、元気ですてきな毎日をおくりましょう。
東京新聞「ショッパー」 2011年7月28日掲載