「変形性膝関節症の方へ!痛みを放置しないように」

 

変形性膝関節症の方へ!痛みを放置しないように
 さいたま市立病院整形外科 大熊 一成 先生


 長い間痛みを我慢するということは、気付かないうちに行動範囲が狭まり運動能力が低下するだけでなく、精神的にうつ状態となり物事を悲観的に考えるようになり、人とかかわることに消極的になります。また、好きだったダンス、買い物、旅行などの趣味を諦め、社会から孤立することは、自分で豊かな生活を手放しているようなものです。糖尿病など生活習慣病の悪化など弊害がでてきます。

 最近、運動療法が鎮痛剤と同等の効果であることが判明してからは、運動療法が、鎮痛剤に代わり治療の中心です。状態に応じて鎮痛剤、ヒアルロン酸の注射、湿布などが追加して使われます。長い間同じ治療を漠然と続けることはなくなりました。また、運動療法のなかには、鎮痛効果だけでなく、うつ状態や認知症の改善、生活習慣病の予防や改善などの効果も確認されております。重篤な副作用はほとんどありません。注意点としては必ず整形外科医に定期的に相談しながら行うことです。定期的に相談することが、自分の膝(ひざ)の状態を把握しながら治療を長続きさせるコツです。

 治療の目的は痛みを軽減させるだけではありません。日々豊かな生活を送れるようにすることです。ぜひ、痛みをなくす努力されてはいかがでしょうか。