「痛風」

 

痛風
 指扇病院附属 笹目クリニック 飯田 裕 先生


 痛風という言葉は時々耳にするかもしれません。男性に多く(95%以上)、突然に足の親指などの関節が赤くはれ上がり、歩くのも困難となってしまうような困った病気です。

 普通は2、3日で痛みの峠を越えて、2週間ぐらいで痛みがなくなります。そのために「続けて治療をしたほうがいいですよ」と医者に言われても、つい治療がおろそかになってしまうことが多いようです。

 痛風の原因は血液の中の尿酸という物質が、ずっと以前から以上に増えていたために起こります。尿酸は誰でも体の中で毎日作られます。また多量に尿酸が含まれる食事を継続的に食べると血液の中の尿酸濃度が上昇します。

 しかし健康な人では尿の中に排出され、それほど濃度が上がることはありません。ところが体内で異常に多くの尿酸を作ってしまう人や、食事で尿酸を大量に摂取する人、尿中に尿酸を捨てるのがうまくいかない人などはこの病気にかかってしまいます。

 尿酸は体中に血液で運ばれて色々な臓器に沈着します。それが関節の中にたまると結晶を作り、これを白血球が処理しようとすると炎症が起こり痛み(関節炎)がでるのです。放置すると関節破壊のために機能障害を起こしてしまうこともあります。

 さらに他にも尿酸が運ばれた臓器、例えば腎臓や血管の機能障害を起こす人がいます。そうなると大変です。このように痛風は全身の病気なのです。

 ぜひ一度、医師に相談してその人に合った治療法を選ぶことをお勧めします。日本人では尿酸を尿中に捨てることがうまくいかない場合が多く、食事の注意だけでなく薬物療法を必要とする方が多いようです。また最近、若い人の発症も増えています。