埼玉県医師会 健康手帳 ロコモティブシンドローム
伊奈病院整形外科部長 石橋 英明先生
ロコモティブシンドローム(運動器症候群、ロコモ)は、足腰の問題で要介護や寝たきりになってしまう状態を示す言葉で、いまやメタボリックシンドローム
や認知症とともに健康長寿を脅かす3大要因の一つとなっています。
さて、ロコモの要因は何でしょう。それは、骨や筋肉などの「運動器」が弱くなることです。加齢も大きな原因の一つですが、運動しないと骨や筋肉はどんどん衰えます。次の項目に心当たりはありませんか?
①片足立ちで靴下がはけない②家のなかでつまずいたり滑ったりする③階段を上るのに手すりが必要である④15分くらい続けて歩けない⑤家のやや重い仕事(掃除機がけ
や布団の上げ下ろし)が困難である⑥食卓イス(座面高42~45センチ)から片足で立ち上がれない
もし一つでも該当項目があれば、今日から筋力やバランスを鍛える運動を始めましょう。続けると、膝や腰の痛みは和らぎ、からだの動きが軽くなります。骨も強くなります。
ロコモの予防・改善には、次の運動が最適です。
【片足立ち】右足と左足でそれぞれ1分間ずつ、1日3回片足立ちします。転びそうな人は机や椅子などに手や指をついてやりましょう。
【スクワット】椅子に腰かけるときのように、後ろに腰を引きながら膝の屈伸をします。膝がつま先より前に出ないようにします。
ゆっくり1セット10回を1日3セットやりましょう。
【踵上げ】両足で立ち、ゆっくりと踵の上げ下げをします。ふくらはぎの筋肉を鍛えます。やはり、1セット10回を1日3セットやりましょう。
【ウオーキング】少しスタスタ早めに歩きましょう。1日30~60分間、自分の状態やペースに合わせて歩いてください。
他に、自分で続けられる方法で運動をしてください。運動習慣をつけること。それが第一のロコモ対策です。頑張ってください。
東京新聞「ショッパー」 2013年9月26日(木)発刊分