軟部組織損傷の超音波診断
今村整形外科・外来 今村 恵一朗先生
軟部組織(筋肉・腱=けん・神経・血管など)はX線を透過してしまうため、軟部組織損傷をレントゲン診断することが困難です。したがって、軟部組織損傷は医師による視診や触診によって診断されてきました。
超音波は軟部組織の状態を評価するのに優れており、近年では超音波診断装置による軟部組織損傷の診断が可能となりました。超音波診断装置はレントゲン撮影のようにX線被爆の問題もなく、また、外来で短時間に手軽に検査できることが大きな利点です。
軟部組織損傷の代表的なものは肉離れ(大腿=だいたい=部や下腿部)やアキレス腱断裂などですが、超音波診断装置によって損傷の範囲や程度を評価することが可能です。また、軟部組織損傷の修復経過の評価をすることも可能です。例えば、アキレス腱断裂の場合、保存療法(手術をしないでギプスで固定する方法)か手術療法かを選択する手段として、超音波診断が有用です。スポーツ傷害の中で多く見られる肉離れの場合では損傷程度によって治療期間がわかるため、スポーツ復帰の判断も可能です。お困りの方はお近くの整形外科にご相談してください。